Saturday, June 7, 2008

外国人パートナーと米国パートナーシップ(4)

前回のポスティングでは過去に米国パートナーシップに対して損失報告を行ったことがない外国人パートナーが「過去3年間の申告実績」条件を満たすため規定に関して触れた。今回は過去にそのような報告をした経験を持つ外国人パートナーに適用される規定に関して触れる。

*過去に損失報告を行ったことがあるケース

仮に外国人パートナーがXXX7年にパートナーシップに対して損失報告を行い、パートナーシップによる予定納税の減額をリクエストするものとする。この外国人パートナーは過去に「別の」パートナーシップに対して同様の損失報告を行った経験がある。その場合、当然「初めて」の損失報告ではないため「前回のポスティング」にて解説した規定を適用することはできない。ここでのポイントはXXX7年に損失報告を行う相手となるパートナーシップと、過去に損失報告を行ったパートナーシップが異なるパートナーシップであっても、XXX7年の報告に関しては「初めて」とはならない点だ。

XXX7年の第一四半期の予定納税を減額しれもらうため、外国人パートナーはXXX7年の4月10日に損失報告を行うとする。予定納税の減額を認めてもらうためには過去3年、米国にてECIを報告するための確定申告をタイムリーに行っている必要があるのは前回のポスティングの例と同様である。しかし「タイムリー」の定義が初めて損失報告をする外国人パートナーに適用されるものと異なる。

過去に損失報告を行った経験のある外国人パートナーは、後年に損失報告を行うためには、後年の時点で過去3年間の確定申告書を申告書の本来の提出期限(延長を含む)までに提出完了し、必要な税金を支払い終えている必要がある。「もともとの提出期限から1年後までに提出されていればOKです」という寛大な猶予期間が与えられない点、初めて損失報告を行う外国人パートナーと条件が異なる点注意が必要だ。

もし上の例の続きで、XXX5年の申告書がXXX7年3月25日に提出されていたとすると、XXX7年に損失報告を行うことは認められない。XXX5年の非居住者申告書の申告提出期限(延長前)はXXX6年6月15日である。初めて損失報告をする外国人パートナーであれば、これに一年を加えてXXX7年6月15日までに申告書を提出していればOKであるが、経験者に関してはそのような「プラス1年」という規定はない。したがって、申告書は延長を含めた法的な提出期限となるXXX6年の10月15日までに提出される必要があり、XXX7年3月25日では遅すぎることとなる。

*損失報告することが認めている外国人パートナー

このように外国人パートナーがパートナーシップに損失報告をする権利があるかどうかを判断するためには、外国人パートナーの過去の米国での申告書提出実績が問われる。実績があるとみなされるためには「タイムリー」な申告書提出、税金支払いが求められるが、そのタイムリーの定義が損失報告を過去に行ったことがあるかどうかにより異なる。

いずれにしても3年間の実績が求められることから、始めて米国に投資する外国人パートナーは少なくとも最初の3年は損失報告の機会が与えられないこととなる。更に3年間の申告書は米国の事業所得であるECIを報告しているものである必要もある。

次回のポスティングでは、損失報告の権利があるとされる外国人パートナーが「どのようなタイプの損失を報告し、パートナーシップに考慮してもらうことが可能か?」という点に関して触れる。